プラスチック成形
射出成形
射出成形は機器部品加工用としては最も一般的な手法で、量産に適している。
ギヤ、プーリー等、機械加工単価が比較的高額で、かつ共通化できる場合に向いている。
以前は数100〜1000個以上製造しないと価格的に不向きであったが最近は少量でも簡易型による加工
が可能なようである。
◆用語
キャビティ:型内の空間
キャビティブロック:めす型
コアブロック:おす型
ゲート:溶融樹脂がキャビティに射出される射出口
イジェクタピン:型を開いた後、成形品を型から突き出すピン。
一般的にはコア側につける。ピン痕が残るため注意
アンダカット:成形品を突き出す際、引っ掛かりとなる部分
スライドコア:型抜き方向とは異なった方向にスライドしてアンダカット部を成形するためのコア。
一般的には可動側の型に仕込む
割り型:字輪成形用の分割型
PL:パーティングライン オス型とめす型の接合面にできるライン)
ウェルドライン:複数の射出流がキャビティ内で合流した痕
ひけ:肉厚の大きな部分の冷却凝縮速度が遅いため表面にできる凹み。
インサートネジ:埋め込み用ネジ金具
シボ:表面のシボ模様
◆ゲートの種類
サイドゲート:通常にPL上に設けたゲート
タブゲート:キャビティ端部にタブを設け、ここから射出する。
流動性の低い硬質塩ビ、ポリカーボ、アクリル用
フィルムゲート:狭く広い隙間いゲート。分子配向の強いアセタール、ポリプロピレン、ガラス繊維充填
サブマリンゲート:PLから一旦型内に潜りもませたゲート。ゲート跡が切断されるため目立たない。
ピンポイントゲート・φ0.8〜1mm程度のゲート 充填調整のため
◆抜き勾配
標準: 1〜2°
高精密: 1/2° 〜 1/4°
シボ面: 5〜11°
◆肉厚
ポリエチレン:0.5〜3.0
ポリプロピレン: 0.6〜3.0
ナイロン:0.5〜3.0
ポリアセタール:1.5〜5.0
ポリスチレン:1.2〜3.5
ABS:1.2〜3.5
ポリカーボネート:1.5〜5.0
硬質塩化ビニール:2.0〜5.0
◆リブ
平面や、背の高いボスの強度を高めるためリブを設ける
◆ 部品取り付けのボス
厚みは肉圧〜肉厚の1/2 程度
◆アンダーカットの処理
アンダーカット部分があると2方向分割では製品が取り出せなくなるためなるべく避けてデザインをします。
どうしてもアンダカット部分ができてしまう場合は、型の一部を、型抜き運動を利用してスライドさせて製品が取り出せるようにします。これをスライド・コアといいます。スライドコア自体も規格品を使うと低コスト化の可能性はあります。
しかし、下図の「アンダカット無し」のような形状にすれば、スライド・コア無しで設計することもできます。またアンダカット逃げの穴が表面に出てしまうような場合でも、最終的にシールで隠してしまうことで回避する手もあります。
真空/圧空成形
片方の型のみで成形するため、型代が安価 (金型でなく木型の場合は型寿命は短いが更に安価)
空気を抜いて成形する真空成形と、空気で加圧する圧空成形がある。
圧空は高い圧力が可能なため高精度な成形ができるが、コストは上がる。
型に接する面にくらべ、空気側の面の精度は得られない。型を雄型にするか雌型にするかを含め、設計上
の考慮が必要。
ボスやリブは接着付けとする。
広い平面部の強度は落ちるため、若干凸面形状にする。
成形後の平均肉厚: 元板の約1/2 (5→2.5mm、3→1.5mm 2→1mm)
抜き勾配: 真空 2° 圧空 1°
角隅部R: 真空 R5 圧空 R2
材質: アクリル変性塩ビ、ABS