機械設計のワンポイント


◆位置決めネジ固定
部品の取り付け位置を調整しないでネジ固定する場合は
位置基準側の穴は φ3H10 、他方の穴は、 3H10×6 のようにします。


一線上にない場合はM3に対してφ4、M4に対してφ5のような止め穴を使います。



◆打ち出しエンボス


打ち出しエンボスは、スポット溶接のための位置決めや、部品の取り付け位置を定めるために使います。
板厚tは 1.6 〜 2 くらいに適しています。

基準穴D はφ3H8 あるいは φ4H8 穴

エンボス径はD-0.1 程度にします。打ち出し高さは t/2 です。
1部品に対して2箇所の位置決めをする場合は、1個の基準穴は丸穴ですが、他方は長穴にします。

◆ベアリング取り付け
ベアリングの内径は、0〜数ミクロン、基準寸法からマイナスしています。ベアリングは元々軸に圧入して使うように考えられているからです。h8軸に組み込むと、抜くことが出来なくなってしまう場合があります。

組立てや分解を容易にしたい場合、軸は f8 公差にしますに。(φ8の場合は-13〜-35μ)
このくらいの研削はセンターレスで比較的容易に加工できます。

なお、含油メタル軸受けなども圧入して使うように設計されている場合が多く、外径は+になっていますが、内径も+公差で作られている場合がようです。これは圧縮されて内径が締まってしまうと困るからです。

◆圧入と接着
圧入は、h8に対してP6くらいの公差を使いますが、組立てられた後の検査ができないため不良品が発生するケースが多く、できれば避けたい方法です。

現在では性能の優れた接着材があり
 Loctite 601  嫌気性 強力接着  軸受け固定 取り外し不可
 Loctite 242 嫌気性 中接着力  ネジ固定 取り外し可
のような接着材を使います。嫌気性接着材は酸素が遮断されると固まる性質があるため、空気のあるボトル中では液体ですが、金属間に閉じ込められると短時間で固まります。従来の溶剤型ネジロックはペイントの一種ですから、外れてしまうケースがありましたがLoctite 242はネジ穴の中で固まりますから極めて信頼性の高いネジ止めができます。また、ネジを外そうと思えば可能です。

◆ボスの固定

ギヤやプーリーなどのボスを軸に固定するばあい、Aのように軸にDカット面を直角に2箇所入れセットスクリューで固定する方法が一般的ですが、フライス加工が割高であり、かつ、双方の角度90°が狂っていると、締め付けが有効でなく緩みやすい。Bはネジ幅×深さ0.2mmほど軸を旋盤加工した方法であり、Aの欠点がありません。

◆軸と板部材の固定1

ボスを使わないで軸に板部材をネジ固定する方法。部品点数が減りカシメ作業もなくなります。

◆軸と板部材固定2

軸は段落としして、板部材にはめ合いますが、段の長さは板厚-0.2程度とします。
板に対して正確な位置を出せると共に、強固に固定する時使います。
完全に回り止めするのであれば、D穴とこれに合う軸形状を使用します。

◆回り止め

ドライバーで締めると回転して締め難い軸部品には六角レンチの入る貫通穴を穿けます。

◆ネジの違う使い方

(左図)スプリングフックとして使う。スプリング力が弱くネジが緩む可能性がある場合はWナットを用いる。
(右図)ネジの頭の突起を簡易フックとして使う。
ネジを締結のためではなく、別用途に使うことで部品点数やコストが低減する場合があります。
通常の鉄ネジでは十分な強度が得られない場合はSUSを使用、またはキャップスクリューを使用します。
なお、ネジは頭部とネジ部の同軸度がかなり低いため正確な位置決めは望めません。

◆直線運動

ガイド軸に沿って直線運動をする機構です。
3個のローラーは部分機枠で支持します。ガイド軸がたわまないことが重要です。


上図はコの字型レールでベアリングを案内する簡略方式です。レール内幅はベアリング外径より0.2程プラスさせる必要があります。



◆構造強度の錯覚

上図左のように地面に固定された構造物、特に下あご形状的な部分が貧弱な構造物の点Pに上から力Fが加わると、1点鎖線のように頭が下がるような変形が発生するように見える。しかし、実際には、下方からP'に加わる反作用力F'のため(右図)主要な変形は下部の構造に発生している。見かけ上の動きが大きい部分の強度が弱いと錯覚してしまい、本来強い構造部分を更に頑丈に補強してしまい勝ちである。


◆応力の集中

上図左のような物体に上下の力が加わると、内コーナー部に応力が集中し、繰り返しで金属疲労が発生する。右図は切り込み部をRにえぐった形状であるため、タワミに対する強度は小さくなるが、繰り返し強度は強くなる。

◆ポスト

板に立てたポストの強度を上げるには上図左のような座を設ける。右のような簡易的な座でもある程度の効果は得られる。

◆高さ調整

上は部材の面の高さを任意に調整可能な機構。中央の1点ねじで押し上げ、周辺の3点ねじで下方に引き下げています。
対向する2点ねじで押し上げ、2点ねじで引き下げるようにすることもできます。

◆装置構造


上図は少量生産に適した装置の基本構造の例。

左右の側板はSPCC(SECC) t2.0 

φ8の丸ステー、またはt1.6〜2.0の板ステー

カバーはSPCC t1.0 、角部ロー付け+パテ埋めで塗装 、ねじ固定アングル(t1.6)をスポット溶接付け
側板外形とカバーの隙間は1mm確保します。
板金の切り口を見せないよう、カバーと側板の構成を注意します。










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