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部品リスト管理.zip

  部品リストとデータベース


装置開発をする上で、個々の技術は当然重要ですが、もう一方、これを管理する技術も重要になってきます。製品の数が増し、シリーズやオプションが増すと、開発管理も製造管理も困難となってきます。

部品表としては、Exelなどの表計算ソフトがよく使われますが、1クラスだけの科目別得点表ならまだしも、複雑な部品や、ユニットにわたる体系を一括に管理することは、表計算ソフトでは不可能です。

数多くの関連するデータを取り扱うソフトはデータベースと呼ばれ、Accessが有名ですが、残念ながら、使うに値しないソフトとしか言いようがありません。多分、基本的な目的感に問題があったのだろうと思われます。
一方、和製データベースとして、一部の愛好者に長年使われてきた「桐」はDOS時代の産物かも知れませんが、コンパクトなデータベースとして、今日でもこれを越すものが出ていないようです。「漢字が使える」にこだわらず、非ガラパゴス化すべきと思うのですが、それはともかく、、

ここでは、桐を使った部品リスト管理法を取り上げます。
なお、データベース桐は
管理工学研究所
から発売されています。また、桐の操作方法や、一括処理に関しては、エーアイ出版などから各種出版物も出ていますので参考にしてください。



「部品リスト管理」の機能

添付した、部品表管理システム「部品リスト」は、多数の製品から構成される部品表を一括に管理するシステムです。
特に複数の製品に共通使用する部品の管理や、一部のオプション部品を変更して、製品をシリーズ化したりする機能を十分に活用することができます。また、業者毎に発注表を出力したりすることもできます。



「部品リスト管理」の使いかた

LISTのような専用のフォルダを作り、このページ上の「部品リスト管理」から、P_LIST.lzhを解凍してください。以下のファイルが含まれています。
  図番.tbl  : 部品リストのデータベース本体
  図訂.tbl  : 図面訂正用データベース
  業者.tbl  : 発注業者リスト
  リスト.cmd  : 図番データベースから各種リストを抽出し、印刷したりファイルを生成する処理プログラム
  図訂.cmd : 図面訂正通知などを印刷するプログラム
他に8個の印刷定義ファイル .prt が入っています。
図番.tblの中には、短いサンプルデータが入っています。
なお、桐で扱える最大の表データ長は510Mバイトとなっていますが、図番.tblは、部品点数が機種あたり200〜300程度であれば、数百機種は取り扱うことができる筈です。



図番.tblを使う

桐で、図番.tbl を実行して、部品リストを作ります。各項目の内容を以下に説明します。

製品 : 作成するリストが属する製品のシリーズ型式を記入します。必須記入項目ではありませんが、部品全体の中から、シリーズに属する部品だけを検索、抽出する場合などに有用な項目です。

親図番 : その図番の親の図番を記入します。ファイルのディレクトリに相当する大切なデータです。単部品であれ、単部品と単部品を結合したけ結合部品であれ、ほとんどの図番には親の図番があるはずです。親図番が記入されないのは、最上位の製品図番、または単独に注文が発生する孤立した図番だけです。

図番 : 必須項目です。総ての部品には固有の図番をつけます。この図番により、図面を管理したり、製造を管理することが可能となります。 (親図番-図番) の組み合わせが全く同じになる行は1行に限られます。
図番が同じで、親図番が異なる場合は、その図番が共通部品として、流用されていることを意味します。
図番は、例えば、上位3桁が製品を代表する番号、下位3桁が製品の中での識別番号のようにすると、データベースとして使い易くなります。ただし、桁数は6桁には限定されません。また、図番は、数値ではなく、文字列として扱っていますので、先頭が0から開始したり、数字以外の半角文字が入っても構いません。
購入部品は、標準品として一定の番号区分を設け、下の例のように順に採番していくと便利です。

参考例)
  ***000 〜 029 製品、派生製品、ユニット
     030 〜 049 機械系結合部品
     050 〜 099 電気系結合部品
     100 〜 999 単部品
  901000   〜   機械標準品 ネジ、ワッシャ類
  902000   〜         止め輪、ピン類
  903000   〜         軸受け
  904000   〜         機構部品
  905000   〜         伝動系部品
  906000   〜         その他の機械系購入品
  911000   〜   電気標準品 安全保護、発音部品
  912000   〜         コンデンサ
  915000   〜         電磁部品
  917000   〜         コネクタ
  920000   〜         半導体
  930000   〜         電源
  940000   〜         その他の電気系購入品

版数 : バージョン 01〜   図面に変更が生じ、版数を上げたら、必ず図訂.tblに反映します。標準品には原則として版数を付けません。

区分 : この項目は、製品に組み込まない保守部品や、プログラムやオプション品にも図番を与えて管理できるようにするためのものです。  入力方法は、▼ポインタを押して選択項目を表示させて入力することもできます。
 【部品】   製品に組む加工部品、購入部品など。
 【ユニット】 製品に組み込む装置
      ただし、部品とユニットの区分は必ずしも厳密でなくとも構いません。
 【保守】   修理やメンテナンスに使う部品やユニットです。
 【製品】   販売を目的とする商品を言います。
 【ROM】   製品メモリーに書き込むデータも一種の部品として考えます。
 【OPTION】 一部の部品やユニットを変更したり、追加することで製品の幅を広げるのがOPTION品です。製品は、そのシリーズ全てにに共通する部品を子-孫-、から構成しますが、ユーザー要望で変更される部品はOPTION部品としてリストに載せます。

図面種 : 必須項目です。ここで、代表図を指定された部品には、子図番があることを意味し、後述するリスト一括処理で、自動的に、下層の子孫図番が検索抽出されます。 入力方法は、▼ポインタを押して選択項目を表示させて入力することもできます。
 【代表図】 子部品がある図面
 【単品図】 子部品がない図面
 【治工具】 治具や工具の図面
 【標準品】 他社から購入する部品、ユニット

記号 : 基板にマウントされる部品などの場合、記号番号を記入します。 Q1,Tr21,IC25,,,

略称 : 部品の名称です。

型番/定格/材質 : 購入品の商品型番です。加工品の場合、素材区分などに使います。

メーカー/処理 : 購入品のメーカー名、加工品の場合は表面処理の区分などに使います。

 : 製造する品の場合は必須項目です。作成している行の図番ひとつ当たりに使う個数です。(製品1台に使う個数ではありません) サンプルデータをみてください。 (020051 カム) 1個 は、 (単部品 020101 カム板) 1個と (単部品 020102 カシメ部材) 3個をカシメて構成される組品の代表図番です。

単価、発注先、在庫注、支給先、 : 発注管理で使う場合は、業者.tblも合わせて使ってください。

共通化 : スプリング、ボス など、特に共通化が可能な部品を検索しやすくするための設計補助データを記入します。




桐の簡単操作ガイド

サンプルの図番.tbl を開くと下のような画面が現れます。
桐は表の形のデータを取り扱います。横軸が項目、縦が各データ行です。
あるデータを修正したい場合は、そのデータをダブルクリックすると、下のボタン行の色が青色に変わり、データ編集モードにすることができます。クリックしたデータをそのまま上書きすることもできますが、下のボタンを使って、直前の値と同じ値を入力したり、行全体の値を直前行と同じにしたりすることができます。 編集が終われば表示をクリックして通常の表示モードに戻します。






桐のデータ操作は、編集画面ではなく、表示画面の時、画面下の操作ボタンをマウスでクリックして実行します。左端のボタンを押すと、B,C,Dまでメニューを切り替えることができます。






以下は代表的な操作です。


行挿入 挿入したい位置の行を選択して、行挿入をクリックすると新しい行が挿入されます。

検索   検索したい列の何れかを選択して、検索をクリックすると、”比較式”か”条件名”か尋ねてきますで、通常は比較式を選びます。

比較式の入力画面が表示されるので、検索したいデータを入力し、一致条件を指定してから検索を実行します。入力データと条件を的確に指定することで、強力な検索をすることができます。

並替え  行を指定する条件でソートします。なお、ソートされた結果は一時的な表示です。更新したい場合は新しい表データとして書き出します。

絞込み  条件に合う行だけを抽出します。

置換   表示されている列のデータを、指定するデータに置き換えます。

表整理  削除した行を、バックアップから消去して、データを整理します。

行削除  行を削除します。

書き出し 表示されているデータを、別な表データとして書き出します。

併合   他の表データから、指定する条件でデータを取り込みます。桐の強力なツールです。



リスト.cmd を使う

リスト.cmd は桐独自の日本語プログラムで記述した一括処理です。図番.tblに作ったデータベースから、各種リストを生成します。 リスト.cmd をクリックすると下のような画面が現れます。



2行目の「総合部品」を選んでクリックし、020001 を入力し、OKします。


略称 A100型 と表示されるので、 改行で確認します。



出力形式を尋ねてきますので、目的に応じて選びます。
特定の発注先のみなどを選択することができます(ただし図番.tblにデータが入力されている必要がありますが)
ここでは、標準出力を選びます。



部品表の印刷、または、現品票あるいはファイルに出力することができます。
現品票とは、発注から納品に際して現品に付ける票です。
ここでは、部品表の印刷を選んでみます、



個数などを修正しない場合は「修正しない」で即印刷することができますが、ここでは、修正するを押して、画面だけ見てみることにします。



これは、製品 A100 のリストです。(020051 カム) が2個なので、その子図番 (020101 カム板)は 2個、 (020012 カシメ部材) は 6個 呼び出されて、自動的に組み込まれています。


次に、ユニット B20 のリストを同様に出力してみます。



(020051 カム) は異なる製品で代表図として作った部品ですが、子部品が自動的に組み込まれていることがわかります。
リスト.cmd は、親-子-孫-ひ孫、、どれだけ複雑な構造になっていても、これを自動的に展開して、リストを生成してくれます。
なお、実際に印刷される各種リストの帳票スタイルは印刷定義ファイル.prt で規定しています。



桐データをエクセルデータに変換

桐で作ったデータは、次の方法でエクセルデータに変換することができます。

標準出力→現品票の印刷/ファイル出力 で台数を1にして、データは修正しないで→ファイル出力 を指定します(例
TTT)を指定)
ファイルは桐のTTT.TBL として作成されます。
桐でTTT.TBL をクリックして開き、
 ファイル→書き出し→テキスト→新規作成  で書き出しファイル名 TTT を入力します。
 項目名書き出し にチェックを入れ。 
 区切り文字=タブ
 必要な現在項目(親番、図番、略称、、など)をクリックして > を書き出し項目に指定し、実行、終了します。
次にエクセルで、 ファイル→ファイルの種類を テキスト にして TTT.txt を開きます。
 変換指定画面で
 カンマやタブなどの区切り、、、にチェックを入れ、 次へ
 
データのプレビュー画面で、各項目を選択して、文字列項目の場合は、G標準ではなく、文字列にチェックを変えます。数値項目(個数)のみ、G標準にしておきます。
 ファイル→名前を付けて保存 で、エクセル標準形式を指定して書き込みます。



エクセルデータを桐に併合

1)エクセルでの準備作業
データ型を再指定します。 個数、単価は整数、それ以外は文字型データを指定します。
 項目名を右クリック → セルの書式設定 でデータを選択します。
 データ型の変換が完了したら、 ファイル → 名前を付けて保存 で「CSV(カンマ区切り)」 を指定して保存します。

2)桐でデータを読み込み
桐を起動し、データの無い新しい表を作ります。
ファイル → ファイル変換 → CSVファイル 
 「先頭レコードでデータ型を自動設定」はチェックせず、「1行目の下の項目名」はチェック
 「項目属性」ボタンを押して、 個数=数値、 単価=長整数、 他の項目は 文字列 に指定
この条件で、1で作ったエクセルのCSVファイルを読み込み、T.tbl のような仮の名前で、桐データとして書き込み終了します。

3)桐を再起動し、「開く」→「再定義」 で T.tbl を開き、「製品」と「親図番」の項目を追加します。他の項目は必須ではありません。

4)桐を通常起動して T.tbl を開き、
「製品」と「親図番」の項目にデータを書き込みます。
絞り込みと置換の機能を使うことで、効率的にデータが作成できるはずです。
他の項目は必要に応じ記入します。

5)併合先の 図番.tbl を開き、T.tbl を "併合元表"に指定します。
方法=「挿入」 で、全ての項目を「照合」に指定して、併合を実行します。(全項目の照合を指定すると、完全にダブっている行データ以外は上書きされるこてはありません)
ここで、正しくデータが併合できたかチェックします。(全行数を予めチェックしておき、併合後の行数を確認することも大切です。)

最後に、「図番」の項目で整列し、新しいファイル名で書き込みをします。
「図番.tbl」を「図番.tmp」に変更し、先ほどの新しいファイルを「図番.tbl」にリネームします。


一括処理

桐はデータベース・ソフトですが、プログラミング機能を持っています。データベースの操作は、往々にして決まった手順の繰り返しが多くなりますが、この一括処理の機能を利用することで自動操作化することができます。
リスト.cmd もこのプログラミング機能で作った一括処理です。

桐を起動した時、ファイルの種類を 一括処理(cmd) に指定して、リスト.cmd を 再定義 で開くと、リストのプログラムを見ることができます。



上は、リスト.cmd の冒頭部分ですが、何と日本語記述のプログラムです。ファイル操作も、画面表示も、表の操作や、条件判断分岐や、サブルーチンコールもできます。こういった意味で桐は、マニュアル操作の自動化を越えた、プログラミング言語であるとも言える訳です。リスト.cmdも環境に合わせ、変更することができます。


複数のデータベース

桐で扱えるデータベースは、同じ表名や一括処理名であっても、異なったフォルダに置けば、それぞれを管理することができます。
同時にオープンすることも可能です。


注意)このプログラムは管理人が自身の設計作業に使うために開発してきたものです。それなりに実績のあるプログラムですが、ご使用に当たっての責任を負うものではございません。(管理人)










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