メカトロニクス 回路設計のための
回路要素2

Fig1  DCモーター制御回路

DCモーターの駆動/ブレーキ停止回路です。自動ステープラーの制御回路として実用化されています。
ステープラー・メーカーが推奨するドライブ回路はフル・ブリッジ回路でしたが、安全面で問題となる可能性があったため、回路を簡素化して1入力で駆動とブレーキを制御できる回路に変更しました。

ポート出力LでDCモーターON。 Hで回生ブレーキ回路が働き停止します。ツェナーダイオードは駆動側のMOS・FETとブレーキ側のMOS・FETのON電流の衝突を防止します。



Fig2  ACモーター正逆ブレーキ回路

ACリバーシブルモーターは信頼性が高いため広範囲に使用されているモーターです。
しかし、回転を急停止したり、即時逆転することが困難なため、モーター内部の摩擦ブレーキでは不足で、外部に高価な電磁ブレーキを併用することがあります。

この回路は、SSRを使った、正回転、逆回転、ブレーキ回路です。ブレーキ停止する時は、駆動を20〜30ms間OFFした後、 ブレーキ回路を30〜40ms間程ONします。

ブレーキ時間が長過ぎると磁界が飽和して過電流が流れますので注意してください。5Ωの制限抵抗は大きなピーク電流が流れますので信頼性の高いメーカーの巻き線セメント抵抗を使用します。他の種類の抵抗、あるいはデータが保障されていない抵抗は避けてください。

正転用SSR1、逆転用のSSR2は、モーターの定格に合ったもので構いませんが、ブレーキ側のSSR3は、ピーク電流が保障されているものを使う必要があります(90Wで45A/1サイクル程度)
20W〜90Wモーターで長年の実績があります。



Fig3  高感度マーク検出回路

反射光で紙面の黒マークを高感度で検出する回路です。

紙の地色が多少異なっても影響を受けず、かなり濃度の低いマークも識別可能です。通常、マーク読み取りは反射センサー光量をAD変換してからデータ処理で判別する方法が採られますが、紙の地色にばらつきがある上、濃度が薄いマークを読み取ろうとするとセンサー感度を上げざるを得ないため、シグナルが背景に埋没してしまうため、通常のAD変換では読み取りが困難となってしまいます。

この回路は用紙が入って来た時、紙面の地の濃度値をピークホールドし、このホールド値と検出値の差分を増幅することで安定した高感度を得ています。

単電源OPアンプを効果的に使うため、OPアンプ(U2-2)で仮想グランドを作っています。U1-1とU1-2はピークホールド回路。 R2とC1の時定数はシステムが要求されるリスタート追従時間に適合させてください。 U2-1はセンサーからの信号とピークホールド値を差動増幅するOPアンプです。

ピークホールドされた紙面の地の白レベルに対して、マークの黒レベルが下がった値を増幅して出力を得ています。この回路を採用することで、AD変換以降のデジタル処理を高速、かつ簡略化することができます。



Fig4  PINフォトダイオード回路1

フォトダイオードは光による起電力を利用したセンサーで、Fig4はフォトダイオードに対して、逆バイアス電圧をかけることで、接合容量を減少させ、高速パルス動作ができるようにした回路です。



Fig5  PINフォトダイオード回路2

逆バイアス電圧はかけないで、ダイオードの順方向起電力を使います。応答速度は高くありませんが、光量に対してリニアな特性を持っています。



Fig6  マトリクス・スイッチ入力回路

多数のキースイッチから入力する場合はマトリクス状にスイッチ回路を構成します。図は4×4のキー入力です。

P0〜P3を入力ポートに設定し、P4〜P7は出力ポートに設定します。出力ポートのP4にLを出力した状態ではSW0〜SW3のデータが入力ポートに入ってきます。P7まで順次スキャンして各列のスイッチのデータを取り込みます。マトリクスに入っているダイオードは複数のキーが同時に押された場合、H出力ポートからL出力ポートに短絡電流が流れてポートが破損することを防止するためのものです。

ダイオードの代わりに出力ポート側にLS06や07などのオープンコレクタ型のバッファを使う方法もあります。また、更に大きなマトリクスになるとポート数を減らすためエンコーダーやデコーダーICを使う手もありますが、キー入力スキャン専用のMPUを使って、ホストCPUへはエンコード化したデータを送る方がシンプルになります。








回路要素集2.pdf
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