かんたん修理                      Top Page
    - 直せるものは直して使う -


ここで取り上げるのは、メーカー非公認のかんたん修理法。
保証期間が過ぎてしまって、買い替えより修理代金の方が高くつく、、と廃棄処分する前に、かんたん修理という手があります。

それだけでなく、修理を通して、装置の動作原理や、部品や材質の耐久性、メンテナンス性、メーカー毎の技術レベルなどを、肌身で感じながら、自らの技術レベルを磨いていくことができるというものです。





リモコンの修理 押しても反応しないキー

昔のテレビは便利で、リモコンが無くともチャンネルを切り替えることができましたが、残念ながら最近のテレビはリモコンが無かったり、あっても言うこと効かないキーがあるとお手上げになってしまいます。家電量販店に行くと各メーカー用の標準的リモコンが販売されていますからそれで済ます手もありますが、以下は操作できなくなってしまったリモコンキーのかんたん修理法。

ネット上には、大型ペットボトルの上部を切り取って作った水槽に重曹を溶かし、家庭用洗剤を混ぜて、この中に電池を抜いたリモコンを水没させ、数時間放置した後、きれいに水洗いして乾燥させると機能が復活する場合がある、との記事もあります。重曹や洗剤は油性の汚れ成分と水分子との間に入り込んで、汚れを浮かび上がらせる働きを利用する訳ですが、ボタンの数が少なかったり、隙間が大きいリモコンの場合は効果があるかも知れませんが、複雑なリモコンの場合は水洗いしても水流がボタン内部まで行き渡らないらしく、この方法はなかなか上手くいきません。

そこでやるのが下記の力技ということになります。
乾電池を外し、リモコンの裏蓋のネジを取ります。



最大の難関は、リモコンの蓋をこじ開ける作業。ケースの隙間にマイナスドライバーやナイフなどを差し込み、慎重にこじ開けます。プラスチックの蓋は簡単に組み立てられて、外れなくなることしか考慮されていませんから、割れてしまうのではないかと心配になるくらいこじらないと外れない場合もあります。

ネジがあるのですから、ネジを外したらケースを無理なく開けられても良さそうなものです。
簡単に開けられたら爆発してしまう危険があるのなら別ですが、





基板側には櫛型の接点のパターンがプリントされています。操作ボタン側はゴムで成型されていて、ボタン部は導電性ゴムになっています。

このゴムが曲者で、柔らかくするために中にはたっぷりと軟化液を練り込んであることを、リモコンユニットの設計者は知らないのです。キーを押す度に、この液体はじわじわと滲み出てきて、やがて接点パターンの導通性が失われていきます。

この液体は無水アルコールと綿棒で洗浄できますが、表面のみ導電性になっているスイッチの場合は洗浄すると導通しなくなってしまうことがあります。
そのような場合は、ボタンに導電性銅箔テープを貼ると復活させることができます。アルミ箔でも代用できる場合がありますが表面の酸化絶縁膜が厚いとうまく動作しない場合があります。










インクが詰まってしまったインクジェットプリンター



canon  iP4300

インクジェットプリンターはパーソナルプリンターや複合機として広く使われています。canonのサーマル方式はインクを瞬間的に加熱沸騰させて泡を発生することでノズルからインク滴を放出します。EPSONやブラザーのピエゾ式は圧電素子の振動でインクを放出します。何れにしても、何日も使用しないで放置して置くと、ノズルが乾燥して詰まってしまうことがあるため、コンセントが入っていると、自動的に電源が入り、装置内にインクを排出してクリーニングする機種もあります。

さて、クリーニング操作をしても目詰りが解消しない、保証切れのプリンターを廃棄処分にする前に試す価値があるのがこの水道洗浄方式です(無論、メーカー非推奨)

写真はプリントヘッドが外せる方式のインクジェットプリンター。全てのインクカートリッジを外してから解除レバーを上げるとプリントヘッドを取り外すことができます。

外したプリントヘッドを適度な大きさの容器に入れ、人肌のぬるま湯に浸すこと10〜15分。後は、水道水でヘッドを丁寧に洗い流します。インクの色が滲み出てこなくなったらOK。ペーパータオルでヘッドの水滴、特に端子部は注意して水分を取り除きます。

ヘッドをプリンターに装着し、インクカカートリッジも戻します。テストパターンを印字してみて回復していたら幸運というものです。なお、こんな時のために純正のインクを使うのは勿体ありません。インクの型番を確認し、100円ショップの詰め替えインクを使うことができます。黒インクに染料系と顔料系の2種類を使う機種がありますが、普通紙プリントとして使う場合は、区別する必要はないようです。ICが組み込まれていて一旦空になったインクカートリッジからは警告が出され続ける機種もありますが、確認操作で使用を続行することができるはずです。無論、以後の空打ちによる障害は本人の管理次第ということになります。

消耗品商法とは、本体は赤覚悟で売って、消耗品で儲けるビジネスモデルですが、ここに詰め替えビジネスとのいたちごっこが発生することは必然というものです。本体も消耗品も本来の品質に見合う価格で勝負すべきなのでしょうが、この、やや歪んだ商法から脱するのは容易では無いようです。


ブラザー複合機 エラー46

「クリーニングできません 46」は、廃インクタンクが満杯になった時表示され、業者に出して修理しないと回復できないとされていますが古い機種はメンテ期間が切れていると、実質上装置の買い替えが要求されるレベルのエラーということになります。
しかしどうも廃インクタンクの中のインク量が検出されている訳ではなく、内部のカウンターによって表示されるようです(機種によっては汚れ検出センサー型もあるらしい?)。修理するにしても、先ず廃インクタンク内を清掃するのが筋でしょうが、使用期間に対して使用頻度が多く無い場合はタンク内のインクが蒸発して溢れる危険性は高くないので、ジコ判断でエラーだけを解除する手もあります。

 メニューボタンを押しながら電源プラグを差し込み、メンテナンス表示が出たらボタンを離す
 80 を入力 OK 
 purge ***** が表示されるまでモノクロボタンを繰り返し押す
 2783 を入力 OK
 purge 0000 が表示される
 99 を入力 OK
 停止ボタンを押しながら電源プラグを抜く

以上は MFC-850で試した結果ですが、他の機種でも同じような手順でできるようです。
なお、廃インクタンクの清掃を試したYouTubeも観られますが、新しい機種ほど分解のことは考慮されていないため厄介なようです。




100円ショップのLEDライト

100円ショップで購入できるLEDライト。懐中電灯から自転車用と各種揃っていますが、残念なことに運が悪いと使用を開始して10分と持たず、1灯目が消え、2灯目が不規則に点滅し始めます。100円だから仕方ないのでしょうか?

中を開けてびっくり! 3個の白色LEDが基板上で、すべて並列接続されています。白熱ランプの場合は電球を何個並列接続しようと構いませんがLEDの順方向電圧(大きな電流が流れ始める電圧)は素子により微妙に違うため、これらを並列接続すると、順方向電圧の低いLEDに電流が集中してしまい、やがてLEDは破損してしまいます。
順方向電圧が相当バランスしていても、電流制限抵抗無しで電池に接続することは、ご法度です。0.5秒や1秒の出荷試験はパスできても、遅かれ早かれLEDは破損してしまう筈です。

残念ながら、私が見た某中国製の幾つかの100円ショップのLEDライトはどれもこの接続方式でした。.高額なモールド型を起こしたり、基板まで使うのですから安価なチップ抵抗くらい搭載することはできるはずですが、多分、製造と販売に関わる全ての関係者が、LEDと豆電球の違いを根本的に理解していないのでしょう。






不幸にしてLEDが切れてしまった場合は半田を外し、秋月電子の5mm超高輝度白色LEDと交換します。全部同じ種類のLEDに替えた方が無難です。

LEDの基板のパターンを切断して、各LEDに直列に電流制限抵抗を半田付します(写真上)

 電池電圧が 1.5V×3=4.5V
 超高輝度白色LEDの順方向電圧が 3.3V
 駆動電流を 50mA とする場合

適当な抵抗値は
 (4.5-3.3)V ÷ 50mA = 24Ω

電池の内部抵抗を考えると22Ω程度の抵抗が良いのでしょうが、手持ちの都合で、ここでは10Ωを入れてみることにします。制限抵抗には約0.5Vの電圧が発生しますから、LEDの順方向電圧が0.1〜0.2Vばらついても、ある程度吸収してくれるはずです。

という訳で、この些細な改造で、私のライトの寿命はもう暫くもちそうです。





◆E4エラーが頻発する石油ファンヒーター

エアコンの無い部屋の暖房に便利な石油ファンヒーターですが、着火してから10数秒後にE4エラーが表示されて停止してしまいます。 コロナ製のファンヒーターは某先発メーカーに比べると高い信頼性がありますが、購入後数シーズンは好調なものの、残念なことにこのE4エラーが出るようになるとお手上げになってしまいます。

マニュアルで、E4エラーは「着火不良」とされているのですが、実際は、正常に着火しているにも関わらず、「着火しなかったエラー」が表示されるのですから、いくら給油フィルターを清掃をしても治る筈はありません。

私も、技術屋の端くれなので、強くは言えないのですが、メーカーはどうしても原因を客側に持っていき勝ちです。確かに給油フィルターを故意に目詰りさせると、このエラーを引き起こすことはできるでしょうが、第一、正常に着火しているにも関わらず着火エラーが表示されるのですから、どう考えても「着火エラー」ではなく、「着火した炎を検出できないエラー」なのです。

そこで修理ですが、以下は、ファンヒーターの基本構造と、動作原理と、何をしたら危険が伴うかを理解できる方向けの修理編です。





カバー類を外し、本体右側の基板とハーネスはなるべくそのままにして、前側に倒すと、上写真のようにバーナー上部のフードを固定しているネジが現れますので、外します。反対側のネジも外すとフードを上に抜くことができます。





バーナー脇のロッドが炎を検出するためのフレームロッドとよばれるセンサーです。センサーといってもこの棒の中に特別な半導体が仕組まれている訳ではなく、単なる合金製の棒状の電極です。

炎は、ガスの分子が勢いよく酸化する現象ですが、炎の中にはイオン化した分子と電子が存在するため、導通とまではいかないのですが、僅かに電流が流れる性質があります。バーナーとフレームロッド間に電圧を掛け、炎の有無を検出するのがこの炎センサーの原理です。

しかし、フレームロッドの拡大写真(下)を見るとわかるように、ロッド表面を白い被膜が覆ってしまっています。





ネットを検索すると、室内でプレーを使うと、フレームロッドにシリコンが付着し、炎を検出できなくなると警告されていますが、私の部屋では残念ながら如何なるスプレーも使っていません。いったい、この白い膜は何なのでしょう? 灯油はかなり純度の高い炭化水素(CとHの化合物)ですが、不純物の硫黄の酸化物なのでしょうか? 残念ながら成分分析まではできません。





丁寧にフレームロッド表面を磨くことでE4エラーは出なくなる筈です、、と、ここまでの対処法は他のサイトにも出てくるのですが、実は落とし穴があって、電極はフレームロッド側だけでなく、バーナー側にもあります。

バーナー側の電極は、炎の吹き出し口のバーナーの網がそれに当たります。先程の写真のネジ2本で固定されている円筒状の部品を外して、網を変形させないように注意しながら、付着した酸膜物や、ネジの座面の酸化膜を除去します。

ここのネジは緩み防止のため、TPネジが使われていますが、我が家のファンヒーターのネジは、締め付け力がほぼゼロに落ちていたのです。これではエラーが発生するのも無理はありません。フレームロッド表面の膜が真の原因ではなく、単純に燃焼筒の締め付けネジの緩みだった可能性も否定できません。

燃焼筒の中を貫通するネジなので普通のネジより長尺で、かつ、常温と燃焼の温度差による収縮膨張が繰り返される環境下にあって、TPネジの座の許容弾性が、これを吸収できるとはちょっと想像できません。些細な配慮ですが、装置の信頼性はこんな処にも出てきてしまいます。
燃焼筒を固定するネジだけでなく、燃焼筒の座周辺にも数本のネジがありますから、これらも導通を確実にするために増し締めしておきます。

錆びの除去は、目の細かいサンドペーパー、小型のワイヤーブラシ、 あるいは錆び取り消しゴムなどを使います。バーナーの網の部分は変形させないよう注意を払います。

ネジを締めた後、バーナー電極がフレームグランド(ファンヒーターの台などの金属導通部)と確実に導通していることをテスターで確認します。。

なお、朝一の点火はOKでも、一旦燃焼を停止した後の再点火でE4エラーが発生するような場合は、明らかにバーナー電極自体が原因ではなく、燃焼筒としの周辺のネジ座面の導通が怪しいと考える方が当たっているでしょう。低温の収縮により接触していた導通経路が、熱膨張で非接触となってしまう場合があるからです。

しかし、何か釈然としません。メーカーは多分これを承知しているのではないでしょうか? 普通の使い方で2シーズンも使えたら後は修理売り上げで貢献してもらえると踏んでいるとしたら、哀れで切ない話です。






◆動かなくなったカセットプレーヤー

フラッシュメモリのミュージックプレーヤーに置き換わってしまった音楽再生装置の世界ですが、ここに来てまさかのカセット人気のぶり返し。聞いたことのないメーカーまで参戦する様相ですが、家の引き出しに寝ていたソニーのウォークマンを引っ張り出した面々も多い筈。しかし、電池を詰めて、再生ボタンを押してもテープが走行しません。巻き取り、巻き戻しもできません。

簡単な診断法は、再生ボタンを押したまま、プレーヤーを耳に当ててみます。静かにモーターの回転音が聞こえていたら修理できる可能性があります。

ここではTCM-47を例にとって、その復活にトライしてみます。

かつてのsonyのプレーヤーは、今時の多くの製品と違って、かなり修理を考慮して作られていました。ただし、気を付けることは、小さな専用ネジが多いため、外したネジを紛失しないこと。飛ばしたネジが装置の中に落下したのか、机の隅か、床を転げて行ったか、下手をすると修理の大半を、ネジの捜索に費やすことになりかねません。ビニール袋の中で作業する手もありますが、困難なことに代わりはありません。

装置裏側のケースを外すと、写真下のように装置内部の基板が現われます。固定は、基板上にシルクで矢印が表示がしてあるネジですが、その前に、スピーカー(写真下のオレンジ色の線)と、磁気ヘッド(灰色のシールド線)の半田を外します。

本体と基板を接続する2本のフレキシブル基板(FPC)のうち、開閉ケース側のコネクタは縁の部分を引き出すとFPCを簡単に抜くことができます。モーター接続のFPCは外さずに、基板ユニットを開くとメカが現われます。





(写真下)下側左寄りの大きなホイールは、はずみ車効果により一定速度で回転させるためのホイールです。ホイールの表側の軸端はキャプスタンローラーと呼ばれ、ゴムのピンチローラー間にテープを挟み込んで走行させる働きを持っています。

ホイールの左隣の上が駆動モーターとプーリー。なんと、モータープーリーとホイールプーリー間のゴムベルトAが伸び切って弛んでいます。更に、ホイールとテープの巻き取り及び巻き戻し駆動のベルトBも伸びて張力が無くなっています。

もっとひどいのは、右上部のテープカウンター用のゴムベルトCで、溶け落ちています。




これらのベルトは、見た感じ、CR(クロロプレン)ゴムのようです。CRゴムは合成ゴムの中でもかなり耐久性があるゴムとされています。

ところで、有機化合物(H2C=CH2など)であるゴムは本来液体ですが、硫黄などを加えて、長い鎖状の分子同士の所々を橋渡ししてやると、弾性を帯びた物質になります。強度を増すためにカーボンなどをゴムに練り込みますが、硬度調整のために各種軟化剤なども配合されるようです。

問題はこの配合で、ゴムの品質はこれで大きく変わってしまいます。部品の形状寸法の品質は容易に良否を判定できますが、ゴムの品質は外見からは判断できません。ここに低品質ゴムの温床があるようです。

芯体を入れたゴムベルト+テンショナー機構を望むのは過ぎた要求かも知れませんが、sony程のメーカーでも、ゴムの耐久性と他の部品の耐久性が、極端に違い過ぎる矛盾に気が回らないのは勿体ない話です。

ともあれ、ネットを検索するとカセット用交換ベルトが売られているではありませんか! Amazonでは何と各種長さと太さのバラの袋詰めです。運が良ければ使えるベルトが入っているかも知れません! 一方、千石電商のものは一応、角丸平とも飛び飛びですが寸法指定があります。

モーター駆動とカウンター用に0.95mm角、巻き取り巻き戻し用に1.2mm角を使ってみます。テープカウンター用はもっと細い角ベルトの方が良さそうですが無いため妥協します。

ウレタンのゴムベルトの場合、伸長率は6%程度とするのですが、この交換ベルトの場合は、どの程度の伸長率が望ましいのでしょうか? 調べてもそれらしい情報が見つかりません。プーリー径とプーリー間寸法を実測し、ベルト長計算を使って計算した値を基に、エイヤッと、伸長率20%前後のベルトを千石電商にネット発注してみることにします。1本百数十円ですから、送料を考えると、前後の長さのベルトも手配した方が良さそうです。

届いたベルトを張り、指でモータープーリーを回して、再生、巻き戻し、早送りができることを確認してみます。予想はしていましたが、負荷の大きなモータープーリー側は強めの張り、テープカウンタは弱めの張りが良さそうです。結局使用したベルトは、モーターがφ25×0.95を25%伸長、巻き取り早送りはφ35×1.2を20%伸長、テープカウンタはφ20×0.95を18%伸長で使用することになりました。寿命を考えると、もっと長めでも良さそうですが、入手できるベルト長が限られているため仕方ありません。

厄介なのは、基板ユニットを正しい位置に嵌め込む作業です。基板にマウントされたマイクロ・スライドスイッチのポジションと録音/再生のメカ機構の位置が合っていないと、組立後の動作が正常にいきません。

組立が完了したら、電池を入れ、恐る恐る再生ボタンを押してみます。蘇った音の充実感は格別で、気になるワウフラッターも無く、巻き戻し、早送りも快調、テープカウンターもけなげに回転しています。






◆ 動かなくなってしまった ソーラー時計

電池式クォーツ時計は安価な割りには正確なことが取り柄ですが、2年、長くて数年で電池切れになってしまいます。その点、電池交換不要のソーラー時計は魅力的です。

しかし、ソーラー時計は壊れない限り半永久に使えるのでしょうか? この辺が暗黙の謎になっています。私のG-SHOCK GW-600DJ は十数年前に購入したものですが、最近、外出先で突然表示が全部消え、光に当てて置くと、過去のとんでもない1月1日として目覚め、やがて、電波時計機能で元に戻るようなことが、時折発生し始めています。電池残量がHにもかかわらず、突然ダウンするのですからたまりません。

考えてみれば、ソーラーとは言っても、夜は内蔵のバッテリーで動いている筈ですから、そこを疑うべきなのです。 と、いうことで裏蓋を開けてみます。

四つのビスを外し、裏蓋を取り、極小のコイルスプリングを飛ばさないように注意しながらゴムシートをめくると、交換するバッテリーはCASIOのCTL1616に限ると、注意シールが貼られています(使われていたのはPanasonicのCTL1616)。交換後のリセット接続法も表示されています。





そこで、ヨドバシを訪ねてみたのですが、CTL1616は、修理専用で、一般売りはしていないとのこと。しかし、調べてみると、Amazonでは1500円前後で販売されています。

なお、入手が容易なCR1616は二次電池ではありませんがそれを承知の上でなら十分使うことはできるでしょう。なにせ百数十円で復活するのですから。

シールを剥がすと、電池の固定金具が行く手を阻みます。針のような先端が細い工具で、写真下のように金具のフック部分の引っ掛かりを外にあおると、金具が外れます。見難いのですが、金具の板バネの先端が内側に曲がっていてフックされているのです。





実は、更に困難なのは、このモデルに限らず、この作業の後の、裏蓋のゴム・パッキンの位置合わせです。
1mmに満たない太さのパッキンは、剥がしただけで伸びてしまい、元の枠に収めることは至難の業なのです。これができないと、20バール防水はおろか、生活防水さえおぼつかないのです。
ここでは、極微量のゴム系接着材をパッキン溝の一部に予め落とし込み、パッキンがずれ難いようにして何とか回復。ついでに周辺の汚れも落としておきます。





ともかく、G-SHOCKは、こうして戻っては来たのです。
試しに、標準電波を受信させてみたところ、今までひどく長かった受信時間が、大幅に短縮。

化学二次電池に頼る限り、ソーラーと言えども、その寿命は意外に短いというお手本でした。
更なる長寿命を図るなら、自ずから、化学電池は使えないということが判ります。

ただし、同じソーラー型でも、ほぼ同時期に購入した時針タイプの腕時計の方は、まだ正常に動作しています。大きな違いといえば、電波時計は一定時刻に標準時の電波を受信しているということでしょうか? 
少なくとも、毎日深夜の丑三つ時に、太陽の助けも無いまま、電力を消費していることは確かです。電池が劣化してくると、受信時間が更に長くなり、悪循環に陥っていたかも知れません。

二次電池の寿命は、充放電の回数が多い程、短いと言われています。ソーラー電池が働いている昼間に受信できれば、電池の負担はもっと軽減できるような気もしますが、この時計、受信時刻の変更ができないのが残念です。秒単位で暮らしている訳でもない、私のように遅れた人間は、週一あるいは月一の校正でも、構わないのです。何とかならないかと、マニュアルを調べたところ、自動受信を外すことができるようなので、これに決定。


、と、ここまでの修理は、時計本体の修理でしたが、実はもっと厄介は修理が控えていたのです。それはベルトのピンの破断です。G-SHOCKは、強い時計の代名詞とばかり思っていたのですが、それは名に表されているように、衝撃に対しては強いでしょうが、時計全体の耐久性を謳っている訳ではなかったようです。





比較的重量のある時計本体の割りには、ベルトのコマのピンはどう見ても普通の時計のそれと大差ありません。一回の衝撃では壊れなくても、このピンの細さでは金属疲労で遅かれ早かれ折れてしまうでしょう。手元に他の時計のピンがあったのですが、ピンの種類は時計ごとに違っていて使えません。

ネット検索をしてみると、交換ベルトは確かに販売されていますが、何と購入した時の時計本体と大差ない、いや、それ以上の値段が付いているではありませんか! という訳でやはりピンの修理となってしまいました。

折れたピンの先端の替わりに、直径1mmのあり合わせの工具の先端を、5mm程切り取り、パイプの中に差し込みました。直径1mmのピアノ線や、ドリルの端を使ってもいける筈です。

ただし、この方法の欠点は作ったピンにストッパーが無いことです。このため、ピンに内蔵されたスプリングを押し込みながらベルトを組み立てるのは少々厄介です。ピンを飛ばさないよう、注意して組立てなければなりません。それにしても、他のピンは何時までもつのかと、不安の念を抱きつつ、今回はこれで良しとします。


水没ケータイ

防水機能が売りの機種は洗濯槽の中で20〜30分攪拌されてもびくともしないツワモノがあるようだが、フツーの機種は一瞬の水没でお釈迦様となる。

確実とは言えないが、そんな時の救助法。

まず第一の対応はバッテリーの取り外し。内部回路への二次被害を防止するため、バッテリーを急いで外す。
拾い上げた時、画面が正常に表示されていたからと安心してはいけない。内部の細かな隙間に水が浸入し、これが回路に異常な電流を流し始め、重要なOS周辺のメモリーを破壊し始めまでには若干の時間がかかる。本当の破壊は水が引き起こすのではなく、回路に流れ始める異常電流が引き起こす。バッテリーを外すのはこの異常回路電流を防止するため。

次に、水道水を流しながら洗い流す。マイクロSDなど、外せるものは全て外し、開ける場所は開いて、洗い流す。たとえ落とした場所が清水中であっても、汗などの汚れがこびりついていて、これが中途半端に内部に侵入している場合があるので、思い切って洗い流す。

きれいな布やティッシュで水分を吸い取り、ドライヤーをクールにして、吹き出し口を装置のあらゆる隙間に密着させるようにして、内部を隈なく乾燥させる。バッテリーを入れて試したい気持ちを我慢して、作業を続けることが大切。時々、ホットでやや離して乾燥させても良いが、やり過ぎは勿論厳禁。自然乾燥は表面が乾燥するだけで内部の隙間に入り込んだ水がどうしても残ってしまう。

これを少なくとも数十分以上おこなってから、バッテリーを入れて立ち上げてみる。ダメな場合は乾燥作業の繰り返し。それでもだめな場合は潔く諦めるしかない。


断線したイヤフォン
長く使い込むと時々、時々音が聞こえなくなったり、プラグコードの根本を押し込み加減にすると音が戻ったりする症状が出てきます。断線はほとんどがプラグとコードの境界で起きますが、時にはイヤフォンとコードの境界でも発生します。ちょっと高級なイヤフォンは捨てるに忍びありませんから修理することにしましょう。以下はプラグの近くで断線した場合の修理法

修理するイヤフォンはプラグから数cmの位置でコードを切断します。

100均ストアで安いイヤフォンを購入します。プラグから7〜8センチのところでニッパーで切断します。

用意する道具、小物:
 半田ゴテ、糸ハンダ、熱収縮チューブ〔直径2〜2.5mmと5〜6mmの2種類〕、
 それからできればグルーガンとグルースティック
 いずれも100均ストアかホームセンターまたは通販で入手できます。

イヤフォン、プラグ側とも、ニッパーでコード先端の被覆を15〜20mm剥きます。

イヤフォンのリッツ線は表面がプラスチック層なので半田できません。ライターの炎で先端数mmを焼きます。瞬間的に燃焼しますので、燃えてははいけないコード部分にゼムクリップなどを挟んでおくと安心です。焼き切ると銀灰色の銅線が現れます。

剥いた線の先端に予備ハンダを付けます。(ここが難しいところです。線がハンダで濡れるまで我慢して付けます)

太い熱収縮チューブ(5〜7cm程度)を予めイヤフォン側に入れておきます。
細い熱収縮チューブ(各6〜7mm程度)も剥いたコード線に入れ

線どうしをハンダで接続します。
赤線がR、青線がL、グランドは無色です。

ここで音が戻ったことを確認してみます。

細い熱収縮チューブをハンダした位置にセットし、ライターかハンダコテで収縮させます。
太い熱収縮チューブを適度な位置にセットし、収縮させます。

最後に、グルーガンでプラグコードの曲がる部分を保護するようにグルーを盛ります。









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